英文表記、忘れてはならない「6つのルール」

英文を案内版やウェブページで表示する際に、編集やデザイン、その業務の担当者が忘れてはならない「英文表記のルール」があります。それを外れた英文を読んだ人は、見た目の不自然さや拙さに気が向いてしまい、肝心の伝えるべき内容がスムースに頭に入ってこない場合があります。そうならないために、ここで特に重要な6つの基本的ルールを紹介します。

これらのルールは、Chicago Manual of StyleJapan Style SheetJTA Writing and Style Manual 等に共通している標準的なフォーマットです。

1)英文には和文フォントを用いない

英文テキストは、すべて1バイトの単位で作成されています。一方、和文フォントは2バイト単位で作成され、欧文フォントとは構造が異なります。

そのため、1バイトの英文を和文フォントで表示したときに、見栄えが悪くなったりするばかりか、表記上の間違いが生じたり、文として意味をなさなくなることすらあるのです。

特に注意したいのは、欧文フォントで書かれた英文テキストを和文フォントのテキスト内にコピー&ペーストするケースです。その際、引用符(“  ”)、アポストロフィー(’)、ダッシュ(—)等が全角記号に誤変換されることがしばしば起きます。読み手は、誤った記号の使われ方をした文を目にして、内容以前に大きな違和感を抱くことでしょう。

欧文フォントの正しい句読記号
(例: Times New Roman)

“For if it is rash to walk into a lion’s den unarmed, rash to navigate the Atlantic in a rowing boat, rash to stand on one foot on top of St. Paul’s, it is still more rash to go home alone with a poet.” (Virginia Woolf, Orlando)

和文フォントの誤った句読記号
(例: Yu Mincho)

"For if it is rash to walk into a lion's den unarmed, rash to navigate the Atlantic in a rowing boat,rash to stand on one foot on top of St. Paul's,it is still more rash to go home alone with a poet." (Virginia Woolf, Orlando)

2)適切なフォントを選択する

欧文フォントには、セリフ(ひげ付き)フォントとサンセリフ(ひげなし)フォントの2種類が存在します。案内板の場合は読みやすいセリフ・フォントがよいでしょう。

下表にあげたのはよく使われる欧文フォントです。左列のセリフ・フォントの使用を推奨します。

3)文字揃えを「両揃え」にしない

英文テキストでは、行は「左揃え」にして、単語間には1バイト(半角)スペースを入れるのが一般的です。書式設定で行を「両端揃え」の設定にすると、日常的に英文を使う人にとって単語と単語の間がひらきすぎて読みにくくなり、ページの見た目も悪くなるので避けましょう。

左揃えフォーマット(○)

“The habitual use of the active voice makes for forcible writing. This is true not only in narrative principally concerned with action, but in writing of any kind. Many a tame sentence of description or exposition can be made lively and emphatic by substituting a verb in the active voice for some such perfunctory expression as there is, or could be heard.” (William Strunk, The Elements of Style)

両端揃えフォーマット(×)

“The  habitual  use  of the  active voice makes   for  forcible  writing. This is  true not  only  in narrative  principally concerned with  action,  but  in writing  of  any kind. Many  a  tame  sentence  of  description  or  exposition  can  be  made  lively and  emphatic  by substituting a verb  in the active  voice  for  some  such  perfunctory  expression  as  there  is,  or  could  be  heard.” (William Strunk, The Elements of Style)

4)コピー&ペーストによるフォーマットの消失に注意

テキストのコピー&ペーストをする際に、イタリック体、太字、下線等、修飾したフォーマットが失われることがよく起こります。注意深くチェックしましょう。イタリック体は、時に「英語の言葉ではない」というサインとして用いらることがあります。日本語の音をそのまま表し(ローマ字読み)、それが日本語であることを意味する使い方です。しかし、コピー&ペーストによって、イタリック体が普通の字体(ローマン体)に戻ってしまうと、英語の言葉として認識されます。これは混乱や誤解の原因となります。たとえば、shine (イタリック体=日本語で「死ね」)のつもりが、 shine(ローマン体=英語で「輝く(シャイン)」)に、同様にsame は「鮫」のはずですが、 same「同じ(セイム)」と認識されます。

5)ハイフン、エンダッシュ、エムダッシュ、3種それぞれの機能と記号

ハイフンは、語と語をつないで「複合語にする」最も短い横線(例:singer-songwriter)です。

エンダッシュ(en-dash)は、何頁から何頁、何年から何年までという、「範囲を表す」場合(例:pp. 24–31; 1914–1918)に使う、配分より少し長い、大文字のNの横幅分の長さの記号です。

エムダッシュ(em-dash)は、「別の情報」—例えばこのような—を挿入するときに使う、大文字のMの横幅分の長さの記号です。

日本語フォント内にコピー&ペーストをすると、これらのハイフンやダッシュの文字が不適切なものに化けて意味が変わってしまうことがしばしば起きます。

6)適切な段落表示(メディア別の詳細は『スタイル・ガイド』参照)

案内板や印刷物では、小見出し後の最初の行の文頭はインデント(字下げ)なし、その後の段落は文頭にすべてインデントを設けます。インデントの幅が大きすぎても小さすぎても違和感を与えるため、正規の英文出版物を参照して適切な幅に調整します。

ウェブサイト、QRコード・テキスト等、ネット上の文章については、段落が変わるところで行を空けます。アキを1行以上設け、段落の区別が一目瞭然となるようにします。

案内板と印刷物の適正な段落スタイル

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ウェブサイト、QRコード・テキスト等、デジタル・テキストの段落スタイル

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6つのチェックリスト

1  適切な欧文フォントを用いていますか(日本語フォントを用いていないことを確認)

2  行は左揃えになっていますか

3  元の原稿のフォーマット(イタリック体など)は、最終テキストに漏れなく反映されていますか

4  引用符、コンマ、コロン、アポストロフィーは半角で表示されていますか

5  ハイフン、エンダッシュ、エムダッシュが正しい長さになっていますか

6  段落のインデントは適正でしょうか

 

© SWET 2022
(文)レベッカ・ハーモン、リサ・ウィルカット、リン・リッグス、坂井基樹